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骨肉腫で入院のキリバス人患者、935日間にわたる滞在終えて帰国


Link [2022-03-22 19:14:59]



骨肉腫を患うキリバス人少年、Tamaroaさんが台湾の馬偕紀念医院に入院したのは2019年8月、Tamaroaさんが15歳のことだった。当初は9か月の治療が終わればすぐにキリバスに帰ることになっていた。しかし、思いもよらないハプニングが2つも起こった。1つは中華民国(台湾)とキリバスの断交。もう1つは新型コロナウイルスによる国境封鎖だ。Tamaroaさんは図らずも、台湾に2年半(935日)も滞在することになった。これは、台湾で治療を受けたオセアニア諸国の患者の滞在記録としては最も長い。長い歳月を台湾で過ごし、身も心も一回り大きくなったTamaroaさんは21日、ついに台湾を離れ、故郷キリバスへと帰って行った。   Tamaroaさんは2019年8月29日に台湾に到着し、9月6日に左足の切断手術を受けた。その後、化学療法を受ける準備をしていたところ、9月20日、キリバス政府が一方的に中華民国(台湾)との国交断絶を宣言した。Tamaroaさんを含む7人の患者たちは、キリバス政府の手配により、中国の医療機関へ転院し、引き続き治療を受けることになった。   しかし、馬偕紀念医院は、患者の焦りや不安を取り除くため、また、十数年に及ぶキリバスとの医療協力をそう簡単に中断したくないという思いもあり、キリバス政府の説得に乗り出した。そして、「たとえ断交しても、医療は中断しない」という思いを伝え、キリバスから受け入れているすべての患者を、治療を終えるまで馬偕紀念医院に残すとして、キリバスの衛生当局から同意を得た。   Tamaroaさんの入院はもともと9か月間を予定しており、治療は順調だった。このため、2020年5月には帰国するはずになっていた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、再び事態が動いた。南太平洋の島国が厳しい水際対策を打ち出す中、キリバスが国境を完全に封鎖したのだ。Tamaroaさんはしばらく台湾にとどまるしかなかった。   2020年9月の再検査で、Tamaroaさんのがん細胞が転移していることが分かった。Tamaroaさんは再入院し、再び治療を受けることになった。入院期間は133日に及び、6回の化学治療を受けた。医療チームはその一方で、Tamaroaさんのために義足を制作。Tamaroaさんは2021年6月から、義足を使ったリハビリを開始した。   そして今年1月、キリバスが2年間にわたる「鎖国政策」を終了し、再び国境を開いた。   Tamaroaさんは21日、医療チームのスタッフ一人一人に別れを告げ、両親と6人の姉妹との再会を心待ちにしながら台湾を去っていった。    馬偕紀念医院国際医療中心の徐永偉主任によると、これまで同医院が受け入れたキリバス人患者の入院記録は最短で約20日間で、Tamaroaさんのように900日を超えたケースは前例がない。しかし、本当の国際医療とは、単にニーズに応えるだけでなく、「患者の心に届く」ことではないだろうか。遠い国からやってきたすべての患者とその付き添いが、「国境を越えた善意」を心から感じ取ってくれることが、徐永偉主任が目指す医療だという。  



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